消火器にはいろいろな種類のものがあります。それぞれに特徴があり、設置する場所に適した機種を選定しなければならないのです。迷うところですね。
なぜなら、設置する場所によって燃えるものは違います。例えば、事務所ならば紙類が多いでしょうし、工場ならば油類が多いかもしれません。なので、火災の種類に適応した消火器が必要なのです。
そこで今回は、消火器の種類と特徴についての説明です。
放射用ガスの充填方法は2通り
まず、消火器の種類を大きく分けると、加圧式と蓄圧式になります。
加圧式
加圧式というのは通常は容器内にガスが充填されておらずレバーを握ったときに一気に容器内にガスを充填するタイプ。瞬間的にプロパンガスよりも高い圧力が容器にかかります。
使用時に一気にガスを充填するという構造上、本体容器に錆や傷があると破裂する恐れがあります。過去に起きた消火器の破裂事故のほとんどは、管理が悪く劣化した加圧式の消火器で発生しています。
蓄圧式
蓄圧式というのは通常から容器内にガスを充填しておくタイプ。蓄圧式には、レバー付近に圧力計が必ず付いているので、見分けるときのポイントとなります。
本体容器に錆や傷があるとそこから徐々に内部の圧力が抜けていくので破裂しないといわれています。バーストレス消火器なんて呼ばれてもいますね。
そういうこともあって、現在は蓄圧式が主流となっています。
蓄圧式のほうが安全
薬剤の種別は3通り
つぎに消火薬剤の種別によって、粉末系、水系、ガス系の3通りに分かれます。
粉末系
粉末系は、その名のとおり粉末状の消火薬剤を使用しているタイプ。一般的に設置されている消火器の多くはこの粉末系です。
可燃物に粉が覆い被さることで酸素を遮断しつつ、熱を吸収することで消火をします。どのタイプの火災にも対応できる万能性を有しているのが特徴。その反面、放射時間が比較的短いというのと、使用後の後片付けが大変というデメリットがあります。
水系
水系は、さらに純水タイプと強化液タイプと泡タイプに分かれます。
純水タイプ
純水タイプは最近出てきたばかりの新しい消火器です。不純物を含んでいないので、水なのに電気を通しません。そのため、電化製品に放射しても故障しません。
強化液タイプ
強化液タイプは消火能力が高い強化液という消火薬剤が充填されています。表面に薬剤の層を作ることができるので油火災に強いといわれており、家庭用消火器の多くがこのタイプのものです。
泡タイプ
泡タイプは薬剤が泡状となって出てきます。そのため流れ落ちづらく可燃物を覆い尽くすことができます。
水系全般にいえることですが、浸透性が良く熱の吸収率が高いのが特徴です。その反面、純水タイプは油火災には使用できない。などタイプによって使う状況が限られるということと、普通火災に対しての能力が粉末と比べて低いというデメリットがあります。
ガス系
ガス系は、二酸化炭素やハロンガスを消火薬剤として使用しています。環境問題のこともあり、現在は二酸化炭素のものしか販売させていません。
二酸化炭素を放射することで、可燃物周辺の酸素濃度を下げ消火します。また、放射されるガスは霜がつくほど低温で可燃物の熱を下げる効果もあります。
電気火災に強く、ガスなので使用後の片付けが楽という特徴がありますが、普通火災には適応していません。
そして、使用には注意が必要です。狭い部屋で使用すると、火を消すことができますが、室内にいる人の命も消すことにもなりかねません。酸素濃度が薄くなり窒息してしまうのです。
薬剤の種類は粉末系、水系、ガス系
まとめ
- ガスの充填方法により加圧式と蓄圧式に分かれる
- 薬剤の種別により粉末系、水系、ガス系がある
- 粉末系は万能型、水系の強化液と泡は油火災、ガス系は電気火災が得意
以上、消火器の種類と特徴についての説明でした。
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