車載用消火器おすすめ3選|種類別の選び方を消防設備士が徹底比較

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おすすめ・選び方ガイド
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走行中の車が突然燃え始めたとき、あなたはすぐに対処できますか?

意外に思われるかもしれませんが、車両火災は決して珍しい出来事ではありません。総務省消防庁の資料によれば、令和3年中に全国で発生した車両火災の件数は3,512件にのぼり、単純計算で1日あたり約10件もの車両火災が起きている計算です。出火原因として多いのは電気系統のトラブルや排気管周りの過熱で、古い車だけでなく、新しい車にも無関係とは言えません。

だからこそ、車に1本の消火器を備えておくことが重要なのです。この記事では、消防設備士の視点から、車載用消火器の種類・選び方・おすすめ商品をわかりやすくご紹介します。


車載用消火器の種類と特徴

車載用消火器は大きく分けて3つの種類があります。それぞれ消火の仕組みと得意・不得意が異なるため、まず違いを整理しておきましょう。

粉末ABC消火器(蓄圧式・加圧式)

もっとも一般的なタイプです。「A」(普通火災)「B」(油火災)「C」(電気火災)の3種類に対応しており、汎用性の高さが最大の特長です。放射距離は3〜6m程度と長く、初期消火の能力は3種類の中で最も高いといえます。

ただし、消火後に白い粉末が広範囲に広がるため、エンジンルームや車内が粉まみれになるという点は覚悟が必要です。使い捨てではなく、点検・薬剤交換が必要なので維持コストも発生します。価格帯は5,000〜15,000円程度が一般的です。

こんな人に向いています: 幅広い火災に対応したい方・コストパフォーマンスを重視する方

二酸化炭素(CO2)消火器・消火具

電気を通さない不活性ガスである二酸化炭素を噴射するタイプです。消火後に薬剤が残らないため、エンジンや電子機器を汚さないのが大きなメリット。ハイブリッド車や電気自動車(EV)のバッテリー火災にも有効で、自動車メーカーの純正オプションとして採用されている製品もあります。

一方で、密閉空間での使用には注意が必要です。車内に向けて大量噴射すると酸素濃度が下がるため、使用後はすみやかに換気・脱出を行ってください。小型タイプ(エアゾール式消火具)は手軽ですが、あくまで初期の小火(ぼや)向けです。価格帯は小型タイプで3,000〜8,000円程度です。

こんな人に向いています: ハイブリッド・EV車オーナー・消火後の汚れを気にする方

エアゾール式簡易消火具

スプレー缶のような形状で、操作がとても簡単なタイプです。手軽さとコンパクトさが魅力で、「まず1本積んでおきたい」という方の入口としておすすめです。ただし、消火能力は限定的であり、消防法上は「消火器」には分類されません。あくまでも車内の座席やダッシュボード周りなど、小さな火に対処するための補助的な道具と考えておくとよいでしょう。価格帯は1,500〜4,000円程度です。

こんな人に向いています: まずは手軽に試したい方・普段使いのサブとして備えたい方


車載用消火器の選び方|4つのポイント

1. 車の種類・燃料に合った薬剤を選ぶ

ガソリン車・ディーゼル車であれば粉末ABC消火器が扱いやすく消火能力も十分です。一方、ハイブリッド車や電気自動車の場合は、バッテリー火災(電気火災)への対応を重視した二酸化炭素タイプが安心です。電気を通さないCO2ガスは、通電中の電気系統の火災に有効とされており、一部の自動車メーカーがEV向け純正オプションとして採用しているのもこのためです。

2. サイズ・重量・設置スペースを確認する

車内は限られたスペースしかありません。購入前に設置予定の場所(シート下・トランク・ダッシュボード付近など)の寸法を測り、商品の全高・全幅と照らし合わせましょう。重量についても、いざというときにすぐ手が届き、片手でも持ち上げられる重さかどうかを確認してください。一般的な自動車用消火器の薬剤量は1.8〜2kg程度、総重量は3〜4kg前後のものが多いです。

3. 「車載用」または「自動車用」であることを確認する

家庭用の消火器をそのまま車に積むことも不可能ではありませんが、車内は気温・湿度・振動の変化が激しい環境です。車載専用モデルは−30〜105℃程度の温度範囲に耐える設計がなされており、取り付けブラケット(固定器具)も付属していることが多いです。「家庭用消火器を車に積めばいい」と考えている方は、ぜひ車載用の専用品を選ぶようにしてください。

また「車載式消火器」(タイヤ付きで持ち運べる大型タイプ)と「車載用消火器」は別物です。インターネットで購入する際は商品説明をよく確認しましょう。

4. 有効期限・点検の手間を把握する

消火器には設計標準使用期限があります。蓄圧式の業務用タイプで概ね10年、一般的な加圧式でも定期的な点検が必要です。エアゾール式の簡易消火具は使い捨てで期限が比較的短め(商品によって異なります)。購入時に使用期限を確認し、定期的に残圧ゲージの確認・点検を行う習慣をつけましょう。


おすすめ車載用消火器3選

1. 日本ドライケミカル|PAN-10AG(I) 自動車用ABC粉末消火器 10型

薬剤: 粉末ABC / 重量: 約5.7kg / 放射距離: 3〜6m / 容器: アルミ製 / 形式: 加圧式 / 付属品: ブラケット、リサイクルシール

消防設備機器の国内トップメーカーである日本ドライケミカル社の自動車用モデルです。アルミ製容器を採用しており、鉄製に比べ約20%軽量で錆びにくいのが特長です。普通・油・電気の3種類の火災に対応しており、幅広いシーンで活躍します。

普通乗用車にはじめて車載消火器を備えたいという方に、まず検討していただきたい定番モデルといえるでしょう。


2. (株)初田製作所 PEP-4V|車載用消火器(蓄圧式・ABC粉末)

薬剤: 粉末ABC / 重量: 総質量約4.3kg / 薬剤量: 2.0kg / 放射距離: 3〜6m / 放射時間: 約13秒 / 付属品: エコマーク認定・グリーン購入法適合

環境性能にも配慮した蓄圧式の車載消火器です。窒素ガスで蓄圧するため温度変化に強く、寒冷地でも安全に使用できます。圧力ゲージで残圧を視認できるため、いつでも正常稼働状態かどうかを確認できる安心感があります。長期使用を見据えたい方に向いています。


3. ワイピーシステム|消棒RESCUE(CO2消火具)

薬剤: 二酸化炭素62g / 重量: 約370g / 放射時間: 約8秒 / 寸法: 195×60×45mm / 使用温度: −30〜105℃ / 付属品: 車載用アタッチメント、シートベルトカッター、ガラス割り先端部

「消火」「シートベルト切断」「窓ガラス破砕」の3つの機能を1本に集約した、緊急時の脱出支援ツールを兼ねた製品です。重量約370gと非常に軽く、ダッシュボード付近への設置に適しています。国家規格(JIS)D5716認証取得品で、いすゞ自動車・スバル・三菱自動車などの純正オプションとしても採用されています。

消火能力単体では粉末タイプに劣りますが、ハイブリッド車・EVオーナーや、緊急脱出機能を合わせて求める方に向いています。価格帯は3,000〜6,000円程度です。




取り付け・使用時の注意点

設置場所について

車載消火器は「すぐ手が届く場所」に設置することが大前提です。一般的にはシート下・センターコンソール脇・荷室前方などが選ばれています。ブラケット(固定具)でしっかり固定し、走行中に転がったり飛んだりしないよう注意してください。消火器が凶器になりかねないケースもあるため、固定は必ず行いましょう。

使用時の注意

CO2タイプを車内に向けて噴射する場合は、噴射後すみやかに車外へ脱出・換気してください。また、天ぷら鍋・石油ストーブへの使用はCO2タイプには不向きです。各商品の取扱説明書に記載された適応火災の範囲を事前に確認しておきましょう。

定期点検を忘れずに

消火器は「いざというとき使えてこそ意味がある道具」です。購入後も半年〜1年に一度は残圧確認・外観点検を行い、使用期限が近づいたら早めに交換してください。廃棄の際はリサイクルシールを利用して正規ルートで処分しましょう。


まとめ|車種と用途で選ぶ車載用消火器

車載用消火器はただ積んでおけばよいものではなく、車の種類・設置スペース・想定される火災の種類に合わせて選ぶことが重要です。

タイプこんな人に向いている
粉末ABC(蓄圧式)ガソリン・ディーゼル車・汎用性重視
粉末ABC(加圧式)コスト重視・軽量化したい
CO2消火器HV・EV・消火後の汚れが気になる
エアゾール式まず手軽に備えたい・サブとして

「どれがいいか迷ってしまう」という方は、まずガソリン車なら粉末ABC蓄圧式のアルミ製を、ハイブリッド・EVならCO2タイプを選ぶところから始めてみてください。1本積んでおくだけで、万一のときに取れる行動の選択肢が大きく広がります。

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